苦情には、その内容の背景に気を配った対応を!

介護現場では、不安や不満といったネガティブな感情が、どうしても利用者の心に溜まりがちです。ネガティブな感情が溜まると、心のコップから怒りがあふれ出てきてしまいます。そのため、介護職がクレームを受けたときには、相手が何に対して怒っているのかを知る努力をし、原因を解決する必要があります。ただ「申し訳ございません」と繰り返すのではなく、相手の気持ちを受け止め、いろいろなケースを参考にした上で介護業務におけるクレーム防止に努めることが重要になります。

たとえば、利用者から「ナースコールを何度押しても来てもらえない」というクレームを受けた場合、その背景には体調不良だけでなく、「もっと自分を大切にしてほしい」という思いがあるかもしれません。そんなときは、ただ謝罪するだけでなく、不安な思いをさせてしまったことや次回からはすぐに対応するので安心してほしいという、利用者の気持ちを汲み取った姿勢を示すことが大切になります。

また、介護現場では、こちらに非がない対応をしてもクレームを受けることが少なくありません。理性的な対応が困難な場合が多い認知症の利用者からのクレームはその典型ですが、そのような場合は相手の気持ちに寄り添いながら反論せずに、共感の言葉を伝えながら傾聴することがポイントになります。たとえば、入居施設で自分の荷物の保管場所を忘れた認知症の方が、「窃盗にあった」というクレームを述べることがあります。この場合、疑問に思っても一緒に探すことが大切になります。そして、荷物を見つけたときには、責めたり、注意をしないようにしなければなりません。